カリスマ国語教師の教え方
by 中村 仁 / 2017.08.30
■東大の日本史「超」講義を読んでいて、「教えないコンサル」
著者である相澤理先生が予備校講師になったばかりの頃、生徒が講師室に来てある先生に質問をした際の一部始終です。
ここから引用します。
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その生徒は授業での説明に納得していないようでした。
傍から聞いていた筆者にも、その先生はA→B→C→D→
要するに、論理が飛躍しているのです。
ですが、その先生が生徒に対して答えたのは、次のたったひと言でした。
「まだまだキミは、先生の論理に追いついていないな」
筆者が生徒をこんなふうに追い返したならば、その生徒が次の授業から現れない自信があります。
しかし、
次の週にその生徒は再び講師室を訪れました。
そして、はやる気持ちを抑えきれないようにして、
「前回の問題なのですが、これこれこういうことだったのですね」
その説明は、A→Eの間に入るべきB→C→
「うむ、それでよろしい」
生徒はその先生、
ここで重要なのは、B→C→Dという理路を発見したのは、その生徒自身であったということです。
そして、それを生徒が自らの力で見いだすことができたのは、出口先生が説明しなかったからに他なりません。
~
その理路をわかっていながらそれを生徒には一切説明せず、A→Eという方向(だけ)を示した出口先生の姿勢こそ、
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ここまで。
■いかがでしょうか?
大人になってなぜ、東大の日本史本を趣味として読んでいるのか?
みたいな無粋な質問は受け付けませんよ(笑)。
■なんでもネタになりますから。
話を本題に戻すと、問題に対して発想法だけお伝えし、自力で正解にたどり着く力を養うのが出口先生の教育です。
出口先生も生徒から質問されたとき、B→C→Dという理路を答えとして用意していたか?
まぁ、聞くまでもないでしょう(笑)。
■当然わかっている。でも、教えない。
生徒さんは、今後自力で解法を見つけ出しどんどん成長していくでしょう。
私が提唱する教えないコンサルティングも本質は同じです。
ビジネスで抱える問題は、クライアントに降り掛かっているのだから解決できるのもクライアントでしかありません。
■自分で問題に向き合い、問いを立てて行動しなければ成長を続けることはできないでしょう。
コンサルタントへ依存してしまう危険性すらあります。
クライアントの成長のためにも、コンサルタントはヒントは言っても答えまで言ってはいけない場合があるのです。
ここで必要なことは、相手の成長を信じて、あなたが我慢するということです。
■これはもはやあり方です。
残念ながら、これがまた難しいんです。
コンサルタントはその分野の専門家で知識があるために、言いたくて仕方がないからです。
ためしに、誰かによかれと思ってアドバイスしてみて下さい。
「あっ、ああ。ありがとうございます」
■とか、微妙な反応であるとしたら、その時点で結果は目に見ています。
絶対に行動しません。
でも、言っている方だけは気持ちよくなります。
「俺、教えてあげてる」と。
■関係性ができる前の正論は危険ですよ。
相手を信用していないことの現れだし、クライアントが自分で考えて成長する機会を奪っていると気づいた方がいい。
私もカリスマ講師でないから、クライアントの状況に合わせてクライアント自身で決断する判断材
「理路をすべては説明しない姿勢」
■コンサルタントはあり方で決まるなと、改めて実感しました。